生じた問題に対して因数分解思考を取り入れると、問題の根本を導き出しやすくなります。
今回は問題発生時に因数分解思考法を取り入れた場合、どのように健在する問題の根本原因を導き出すことができるかについて考えてみましたので共有します。
今回取り扱うのは、”上司Aが提示したスケジュールを部下Bが全くこなすことが出来ない”という問題についてです。
1.因数分解思考法とは?
因数分解は数学で出てくる用語で理系の方にはかなりなじみ深いものかと思います。
大きな数字を更に細かい数字の掛け合わせによって表現し直すのが因数分解です。
例えば10を因数分解すると
10 = 5×2
というふうに分解することが出来ます。
この考え方を、問題を細分化することに使おうというのが因数分解思考法です。
日頃生じた問題はいくつかの問題がかけ合わさって出来ていることが多いです。
そのかけ合わさった問題がどういったものなのか、因数分解をするように導き出し
根本的な原因を探っていくという考え方です。
2.自責思考と他責思考について
自責思考とは、生じた問題を自分の責任と考えること
他責思考とは、生じた問題を他人の責任と考えることです。
自己成長するためには、自責思考の考え方で業務を行うのが良いと考えられる反面
カウンセリング的な思考では、鬱や自信喪失を避けるために他責思考で考えることが大事だったりします。
自責で考えて行動し続けると精神的、身体的苦痛が生じる場合は、自己成長の前に自分の身を守るために他責思考の考えで行動するのも大事だと考えます。
3.問題を因数分解してみる
”上司Aが提示したスケジュールを部下Bが全くこなすことが出来ないという問題”を上司の立場から健在する可能性がある問題に対して因数分解して、自責思考と他責思考でグルーピングしてみます。
因数分解1
因数分解した場合に考えられる要素として下記があります。
・能力の把握不足
・進捗管理不足
・部下の能力不足
これを自責と他責でグルーピングすると
■自責
・能力の把握不足
・進捗管理不足
■他責
・部下の能力不足
因数分解2
この中に健在する可能性がある問題をさらに因数分解して導き出してみます。
能力の把握不足の因数分解
・部下への質問がしっかり出来ていなかった
・スケジュールをこなすのに必要な能力と部下の能力の見極めが出来ていない
これはどちらも自責に分類されます。
進捗管理不足
・進捗の確認頻度が不足していた
・進捗の遅延に対して効果的なアドバイスが出来ていない
これもどちらも自責に分類されます。
部下の能力不足
・スケジュールをこなしてもらうための教育が不足していた
・部下の能力が発揮できる環境を整えられていなかった
これもどちらも自責になります。
部下の能力不足だけだと他責になってしまいますが、因数分解をすると自責部分が出てきます。
これは因数分解した時の面白い結果で、部下の能力不足で終わらせると部下にもっと努力しろと怒鳴るのみで終わり、根本解決はなされませんが、更に因数分解すると見えていなかった問題が明らかになります。
因数分解した後の要素を取り出してみる
今回の場合、因数分解した結果は以下になりました。
・スケジュールをこなすのに必要な能力と部下の能力の見極めが出来ていない
・進捗の確認頻度が不足していた
・進捗の遅延に対して効果的なアドバイスが出来ていない
・スケジュールをこなしてもらうための教育が不足していた
・部下の能力が発揮できる環境を整えられていなかった
今回の結果では他責部分はなくなり自責部分のみが残りました。
上司の立場からだと部下よりも裁量がある分、自責として解決できる部分が多くなる気がします。
そして残った自責部分から出来ていたものと出来ていなかったものを切り分けてやることで、問題解決に向けた次のアクションを具体的に考えることができるのです。
部下の立場で考えた場合
部下の視点でも健在する問題について因数分解してみます。
・自分の能力不足
・上司のスケジュールの立て方がおかしい
・解決のための相談不足
この場合、自責と他責のグルーピングは以下のようになります。
・自分の能力不足
・解決のための相談不足
・上司のスケジュールの立て方がおかしい
他責として“上司のスケジュールの立て方がおかしい”というのが出てきます。
これに対して裏で愚痴ったり、絶望しても始まらないのでさらに因数分解してみます。
・上司がスケジュールの再構築をしてくれる人ではない
・上司が自身の能力を把握出来ていない
・上司がスケジュールの再構築をしてくれる人ではない
→ 更に上の上司または人事に相談する
→ 下の意見を無視して酷い業務量で働かせるような会社であるなら見切りをつけて転職する
・上司が自身の能力を把握出来ていない
→ 上司に自身の現状の能力を伝えてスケジュールを再構築してもらう
・自責部分に問題がある
→ 更に自責部分を因数分解してみて解決策を模索すると次のアクションがわかるようになります。
4. まとめ
“上司Aが提示したスケジュールを部下Bが全くこなすことが出来ない”という問題に対して因数分解思考法と自責思考/他責思考を組み合わせて問題解決を行ってみました。
因数分解する前と比較して、問題の解決策が具体的に落とし込めるようになったと思います。
何か問題が生じるたびに問題を因数分解する癖をつけることで、次のアクションを明瞭に決めることができるので是非試してみてください。
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